京ことば

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京ことば



京ことばは、とても奥深く上品で、
聞く人に優雅でやわらかい感じをあたえてくれる言葉です。
京ことばには、京都特有の特徴があります。

京ことばの特徴や成り立ち、使い方などについてご紹介します。



京ことばは、ストレートに解釈する場合と、状況によって違う解釈をする場合があって
とても奥深い言葉です。

敬語や婉曲表現を使って、丁寧な口調で、会話に角が立たないような言い回しを
することが多いので、聞く人にやさしい印象を与え、柔らかくて優雅な言葉に
聞こえます。

京都の人は、何かを悪く言うときでも直接的ではなく、
「嫌い」といいたいときには「好きやない」というように
やわらかい言い方をします。

言いたいことは同じでも、感情をあらわにした表現をしません。

御誘い等をお断りする時にも、用事が何もなくても「都合が悪いので…」と
理由づけをする事で体裁を保ち、相手を不快な気持ちにさせないという
工夫が感じられます。

相手の真意を察し合い、相手を尊重するという京都の人の気質が根底にあり
その気質の表れることばは、あたたかくて上品でやわらかい感じをあたえて
くれます。


◆京ことばの成り立ち

京都は1000年もの長い間、日本の政治・経済・文化の中心都市であり、
御所が存在していたので、公家言葉(御所言葉)と呼ばれるものとの共通点が
多く根付いています。

京ことばは、その長い間、日本の標準語として使われていました。

都市では、多くの人々が接するので、自分の感情を ”やさしく”、”穏やかに”
相手に伝え、慎重に相手の気持ちをうかがうという、独特の腕曲表現や敬語表現、
そして複雑で微妙なニュアンスの表現を生み出したといわれています。

京ことばには、大きく分けて、御所で話された「公家言葉(御所言葉)」と、街中で
話されるもの「町ことば」の二つがあります。

ひとつは、公家や町方の上流婦人などの間で使われてきた「御所言葉」。
もうひとつは「町ことば」で、室町の商家で使われてきたことば、伝統産業の職人の
間で使われてきたことばの他に、西陣、花街、京都市郊外の農家など、それぞれに
使われてきたことばがあります。

これらのことばが時間をかけて混ざり合って、
今日のような京ことばになったと考えられます。



◆京ことばの特徴 

京ことばには、独特の発音、アクセントがあり、独特の腕曲表現や
敬語表現を多用する特徴があるために、ひとつひとつの会話に時間がかかり、
それが優雅で上品で、ゆったりとした柔らかい印象を与える要因になっています。

◇発音の特徴

京ことばの発音の特徴として、「手」という1音節の言葉を「手ぇ」というように、
母音を長く発音して語尾をのばしたり、「山椒」(さんしょう)を「サンショ」というように、
母音を短く発音します。

そのほかに、「路地」を「ろーじ」、「高く」を「たこう」というように、母音をのばして
発音したり、「美しく」→「美しゅう」のようにことばを滑らかにするための音便が
使われます。

◇敬語の特徴

敬語として「いらっしゃる」→「来はる」という使い方をしたり、敬語としてだけでなく
客観的な立場から「する」→「しはる」と表現することも多くあります。

◇丁寧語の特徴

「です」の丁寧語として、「そうです」→「そうどす」 のように、「~どす」という表現や
名詞に「お~」や「お~さん(はん)」をつけて、「豆腐」→「おとうふ」、
「油揚げ」→「おあげさん」名詞に「お~」や「お~さん(はん)」という表現を
することもあります。

◇婉曲表現の特徴

直接的な言い方をしないで、婉曲的な言い回しをすることも多く、
「~を下さい」→「~おくれしまへんやろか」のような否定疑問の表現を使います。

何かを辞退するときも、「おおきに」、「考えときまっさ」のように、曖昧な表現をして
勧めてきた相手を敬った表現をします。


◆ニュアンスによって違う意図

一つの言葉や表現でも、さまざまな意味で使われることが多いので、
相手の表情や雰囲気や、ニュアンスで意図を理解しなければいけません。

例えば、「おおきに」という言葉にも、さまざまな意味があり、
「おおきに、ありがとうさんどす」と使う場合は、「おおきに」を「多きに(大きに)」という
意味で使い、「どうも(大変)ありがとうございます」という意味になります。

ほかに、あいさつ代わりに「おおきに」と使ったり、お断りするときにも「おおきに」を
使うこともあります。

辞退するときの「考えときまっさ」という、相手への気配りの断り方でありながら、
即決を裂けて間をあけて考えている場合もあります。

判断が難しい場合は、もう一度聞いてみて同じ返事が返ってくれば、辞退の意味と
判断することもできます。


◆京ことばの使い方


『上る(あがる) 下る(さがる)』

京都では、北に行くことを「上る」、南に行くことを「下る」と言います。

平安京の時代に、宮中の御所が都の一番北にあって、御所へ行くのを、
「宮中へ上がる」、御所から離れることを、「宮中から下がる」と言っていました。

古い京都の表現が今も残っています。


『おやかまっさんどした』

京都はおっとりとしたイメージが強いのですが、親しい人が集まって話すときには、
話しも盛り上がり、『やかましく』なってしまいます。

『お喧(やかま)し様』という言葉に、京言葉の表現『~どした』という言葉が一緒に
なった言葉で、『おやかまっさんどした』という言葉があります。

この言葉は「やかましく騒いで申し訳ありませんでした」という意味があり、訪れた
お宅やお店などから帰る際に多く使います。


『じゅんさいな』

『じゅんさい』は、おすまし等に使われている食物で、
ぬるぬるとしていて、なかなか箸にかからないところから
「要領を得ない、つかみどこのない」という意味で使われます。

「じゅんさいなお方」とか「じゅんさいなこと」のように、
人や物事の様子を表現するときに使われます。

他人によってうまく調子を合わせる人を『じゅんさいもの』ということもあります。


『ほっこり』

『ほっこり』と聞くと、「落ち着く、ほっとする、癒される」と言う意味に捉えがちですが
京ことばの『ほっこり』は、「疲れた」という意味で、体が疲れたというよりは、
「精神的に少し疲れた」ということを表します。

ただの疲労感(→『しんどい』)としての意味ではなく、がんばったという達成感も
含まれ、肯定的な意味で使われることが多いようです。

たくさんの人が家に集まって、帰られた後、などに『ほっこりした』というように
使います。

最近では、「落ち着く、ほっとする、癒される」と言う意味で使われることもあります。


『はんなり』

「はななり(花なり)」の”な”が強まった読み方になったことばで、
「花のようだ」と言う意味から来ています。

上品で落ち着いた華やかさ、陽気で明るく華やかな様子を表し
「はんなりしたお色」のように、主に色彩について使うことばです。

華のように繊細で美しいと言うほめ言葉として使われることもあります。



◆「京ことば」の例

あいさに → 時々、たまに、まれに

あがる → 南北の通りを北に行く

いけず → 意地悪

えらい → 大変な、とんでもない、辛い

おいでやす →  いらっしゃい

おおきに → ありがとう

おきばりやす → 頑張ってください

おこしやす →  いらっしゃいませ

かなん → いやだ

かんにん → ごめん

かんにんしておくれやす → ごめんなさい
  
けったい → おかしい、変

ごめんやす → ごめんください、しつれいします

さがる → 南へ行く

ショーモナイ(仕様もない) → つまらない

すじこい → 欲の深い、要領のいい

だいじない・だんない → 差し支えない

どんつき → 突きあたり、行き止まり

はばかりさん → ご苦労さま

はんなり → 上品で、明るく晴れやかな様子(色合い)

ほる・ほかす → 捨てる

よばれる → 招待される、御馳走になる

ぶぶ(おぶ) → お茶


 
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